七冊目です。
『
春期限定いちごタルト事件』の続篇です。一応、前作を読んでくださっていることを前提にしてはいますが、本作の後で前作をお読みいただくのもそれはそれで味があるかもしれません。
『いちごタルト事件』から一年。小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、「小市民」という徳目を掲げたまま高校二年生になりました。物語は、彼らの高校二年生の夏休みが舞台となります。
小鳩と小佐内は「小市民」になるために一緒にいるのであって、夏休みにまで行動を共にする必要はまったくありません。しかし、そう考えていたのは小鳩の方だけ。夏休み初日、小佐内は小鳩を訪れ、彼に〈小佐内スイーツセレクション・夏〉なるリストと地図を手渡します。
なんだこれは、とあきれ返る小鳩。微笑むだけの小佐内。やがて小鳩は、余人の目がない夏休みであれば、「小市民」らしからぬ振る舞いも見咎められないことに気づきます。憚らず知恵を振るう小鳩。彼はしかし一方で、疑問を抱き続けます。……なぜ小佐内は、夏休みに自分に会おうとするのか?
連作短篇集風の、長編です。
このシリーズは、いろいろなタイプのミステリを盛り込むことを目的の一つに掲げています。たとえば第一章は倒叙ミステリ、第二章はダイイングメッセージものの変形、といった感じです。第三章は幕間ですが、第四章がどんなタイプのミステリなのかは伏せておきます。……もちろん、作品全体を通じるとどんなミステリになるのか、も。
嗚呼。日暮れて、小市民への道遠し。