『書き』です
こんにちは。米澤です。
私もたいていの「こんな不慮の事情で原稿が遅れています」はやらかしてきましたが、まさか「?疽になりました」と言い訳する日が来るとは思いませんでした。表示されていますか? 「やまいだれ+票」なのですが。読み方は「ひょうそ」です。「脱疽」や「炭疽」じゃないですよ。それらだったら、さすがに即入院です。
ともかく、痛くてキーボードが押せません。まあ、現象としては単純な感染症ですから、数日で収まるでしょう。
一方、数日どころではなく、千載に恥を残す大ポカをやらかしてしまいました。
先日発売された、『春期限定いちごタルト事件』コミック版。漫画家、饅頭屋餡子さんの初単行本です。見開き二ページのあとがきを書いたのですが、よりにもよって他人様の本でやってしまいました。「金田一耕介」。
……言うまでもなく、「金田一耕助」が正解です!
私はこれまで、「私は『小説家』です」と名乗るのが気恥ずかしいときには、「私は『ミステリ書き』です」とやや韜晦気味に名乗ってきました。しかし金田一の名前もまともに書けないようでは、それもどうかと思います。ミステリの看板を下ろした方がいいかもしれません。すると「私は『書き』です」となって、何が何だかわかりません。
これまでもミスタッチや誤植はいろいろありましたが、これはかなり痛恨です。MS-IMEを逆恨みする気にもなりません。でもこれを機にATOKに変えたことは事実ですが。
読者の皆様、ならびに饅頭屋餡子さんに、不注意をお詫びいたします。
(08.03.10)
余談ですが、コミック版『春期限定いちごタルト事件』あとがきに書いた「タルトが盗まれたうた」の原典は、『金剛般若経』です。有名な『般若心経』は、このお経のダイジェスト版だと思っていただいて差し支えないかと思います。既存の歌の替え歌にすると著作権管理団体に届けが必要ですので、こうしました。
元は経典ですので、メロディーはありません。字数がめちゃくちゃなので、作曲も難しいでしょう。
もはやここまでです
こんにちは。米澤です。
底冷えする夜明け。
そろそろ疲れてきましたが、もう少しだけ書きたいと「かすがどうろう(春日灯篭)」と打ち込んだところ、「貸すが動労」と変換されて「動労ってあれか。民営化で力を削られた。あれ? 協力的だった方だったかな?」と記憶を辿ることになり、残りわずかな集中力を削られてしまいました。
それでもまだ精神力だけで書き進めようとしましたが、「ぐにぐをかさねる(愚に愚を重ねる)」と打ち込んだところ、「具に具を重ねる」と変換されてしまい、ほくほくのジャガイモにあまぁいニンジンが乗っかったイメージに最後の気力を吸い取られたのでもう寝ます。
(08.02.10)
感謝会です
こんにちは。米澤です。
ちょっと風邪気味だったので、飯を炊いてお粥にしようと鍋にかけたところでうとうとしてしまい、挙句泣きながら鍋の焦げを落とすだけで午前中が終わってしまいました。
疲れきって眠ろうとしたところで、マンションのセールスマンが来訪し、泣きはらした目をした私に「お一人ですか」「お仕事はなさってないんですか」などとまくしたてました。体調不良だったのでそのままドアを閉めましたが、一人暮らしで無職だったとして、そういう人間にマンションを売るつもりかお前は。
結局、朝から食べられたのは豆腐一丁と油揚げ一枚。ろくに眠ることもできず、いい加減に腹が立った私は、角川の新春感謝会に乗り込むことを決めました。
毎年、飢えた作家・漫画家・アニメーター連中の間でサバイバルが繰り広げられる、角川新春感謝会。
食いっぱぐれた一日への復讐として、その場に乗り込み、ありとあらゆる馳走を食い尽くしてやることに決めたのです。
毎年恒例として司会は声優さんでしたが……。
これも毎年恒例、誰なのかわかりませんでした。出遅れてしまって、司会の自己紹介に間に合わなかったのです。
さらに毎年恒例、今年も壁の花をやっていました。人に話しかけるのが苦手なので。この点はもう諦めました。
あ、食料争奪戦は、今年は生ぬるいものでした。充分な量が確保されていて、慌てなくても思う存分食べることができたのです。今年の会場は、ザ・プリンス パークタワー東京。堪能いたしました。
二次会では、意外にも、ミステリの話を楽しむことができました。
「早川の異色作家短篇集のおかげで、スタンリイ・エリンの『特別料理』以外を読めたよ! 『特別料理』が有名すぎて、それ以外は後まわしでいい人かと思ってた! ごめんなエリリン、他のもめちゃくちゃ面白いわ!」
とか、
「バカミスとは飛んだり飛ばされたりするものだけを言うのではない……。『最上階の殺人』もまた真のバカ!」
とか、
「某氏は『曲った蝶番』を高く買うが、私はいまひとつ好きでない。某氏は『緑のカプセルの謎』を良くないと言うが、私は好きだ。『妖魔の森の家(The House in Goblin Wood)』の続編は『大妖魔の森の家(The House in Hobgoblin Wood)』で」
とか、
「『隅の老人』をリライトして『隅の少女』を書こう」
とか、そんな話ばかりをしてきました。
さ、仕事に戻ります。
(08.01.30)
検索したところ、「隅の少女」というタイトルの短篇、既に書いている作家がいました……。なんと、赤川次郎です。さすが。
あと、ホブゴブリンの「ホブ」をどう訳すかはなかなか難しいようです。「大」というのはあくまで冗談ですので、翻訳の参考にはなさらないでください。
あきません
こんにちは。米澤です。
あけましておめでとうございます。
新年早々恐縮ですが、デフコンのレベルを上げます。緊急非常体制です。
私こと米澤穂信は、現在抱えている仕事が完遂されるまで、ひきこもります。
新規のお仕事も、まことに申し訳ありませんが、お断りせざるを得ません。お受けしたところで、空手形になってしまうからです。スーパーリンペイ。それは空手形ではなく空手の形です。
このサイトの更新も、頻度を落とすつもりです。「お知らせ」は随時更新いたしますが、「近況報告」は最低限の更新になるか、お休みすることになります。
今年の仕事の密度は、これまでになく濃いものとなります。
出だしに量を稼ぐ計画です。どうぞ、ご了承ください。
息をつく余裕が出来るのは今年10月と見込んでいますが、緊急非常体制は、4月には終わる予定です。
(08.01.10)