Q1:〈小市民〉シリーズの取材で食べられたスイーツの中で、一番美味しかったスイーツは何ですか?
「SHUTTERS」のアップルパイアラモードです。
上々のアップルパイの上に、バニラビーンズが効いたアイスクリームを載せ、ブルーベリー、ラズベリー、メイプルハニー、チョコレート、シナモン、キャラメルの六種類の中から選んだソースをかけたものです。
熱いものと冷たいものを同時に味わわせる料理技法があるとは聞いていましたし、実際にアフォガードを食べたこともありましたが、ここのアップルパイアラモードは非常に印象的でした。
あ、作中にはまだ出していません。
Q2:〈古典部〉シリーズ、どのくらいまで続ける予定でしょうか?
巻数ではお答えできませんが(決まっていないので)、いちおう、折木が高校を出るまで書くつもりです。
Q3:シリーズ物の完結予定、または新しいシリーズなどの予定はあるのでしょうか。
〈小市民〉シリーズは四巻で完結します。
「小説新潮」誌に載せていただいた「身内に不幸がありまして」ですが、「そういうテイストの話」というまとまりで続けていければと思っています。
今年の「ユリイカ」誌に載せていただいた「失礼、お見苦しいところを」はシリーズ化の見通しがあります。年内に次の話をご提供できればいいのですが……。
Q4:扇風機の風の強弱で、弱中強の内どれが好みですか(リズム風の選択も可能です)?
中です。
弱はいかにもソフトすぎ、強は風力はともかく、風を切る音が耳に障ります。
ただ、紙を置いて仕事をすることが多いので、扇風機そのものを使えない場合も多いです。
Q5:僕は山田風太郎さんや若竹七海さんや加納朋子さんなどの作家が好きなのですけど、米澤さんもお好きなのですか? 氷菓や夏期限定を読む直すたびにそう感じるのですけど?
好きな作家ばかりです。
若竹七海、加納朋子はあったかもしれませんが、山風好きテイストは、どこに出ていましたでしょうか? 『明治断頭台』がいいのはもちろんですが、個人的には『ラスプーチンが来た』が好きです。『来た』って、来ちゃったものは仕方ないですよね。帰れとも言えませんし。
Q6:緋蜂は倒せますか? あれは訓練すれば、どうにかなるものなのでしょうか?
バキュラをご存知ですか?
「ゼビウス」に出てくる無敵の敵ですが、256発撃ち込めば破壊できる、という都市伝説が流布しました。
ところが、後世プログラムを解析した人物の話によると、意外にも、256発で本当に破壊できるそうなのです。
ですが、プログラム的には可能だったとしても、実際のゲーム中にはバキュラが出現してからスクロールアウトするまでに256発を撃ち込むことは不可能です。
上記の事実をもって「バキュラは破壊できる」と主張することは、あまりに観念に囚われすぎた愚かな行為でしかないでしょう。
つまり、そういうことです。
Q7:犬と猫、どっちの方がより好みですか?
私だけを好きな猫。
……冗談ですよ、冗談。そんな顔しないでください。
Q8:どうして〈古典部〉シリーズの新刊は文庫で出さないんですか?
出さないというか……。
出せないんです。角川文庫から「文庫書き下ろし」形式でミステリを、という路線は、基本的に存在しないのです(まったく前例がないかどうかまでは、知りませんが)。いったん別の形で出たものを「文庫に落とす」という形を、採らざるを得ないようなのです。
最初から「文庫書き下ろしシリーズを」という企画で始まった〈小市民〉シリーズとは、事情が異なります。
巻によって版型が変わってしまうこと、私としても心苦しく思っています。私も、棚には綺麗に並べたい方ですから……。
ある程度の数字を残すことが出来れば、ゆくゆくは全て文庫になる、ということで、すみませんがお許しを願うしかありません。
『氷菓』『愚者のエンドロール』を合本して単行本に、ということが出来れば、版型は揃いますが……。
それもちょっと、考えがたいことです。
Q9:〈古典部〉シリーズ、〈小市民〉シリーズに、米澤さんの中でのテーマソングやイメージソングなどはありますか? もしありましたら教えてください。
そうですね。音楽はあまり聴かないんですが。
『春期限定いちごタルト事件』……「super "shomin" car (CECIL)」
『夏期限定トロピカルパフェ事件』……「ガール ザ ジャップ(COPTER4016882)」
『秋期限定マロングラッセ事件(仮)』……「悲しい歌(PIZZICATO FIVE)」
『冬期限定生チョコレート事件(仮)』……「my honey dip(Mac Donald Duck Eclair)」
こんなところでしょうか。
書いてもいないのにイメージソングが先にあるのも、滑稽な話ですが。
〈古典部〉の方は、時が経ちすぎて忘れました。
『クドリャフカの順番』はお祭りなので、お祭りのイメージを用意しました。前半は、「サンバ・デ・ジャネイロ」。後半は「Blue(Eiffel 65)」です。
短篇「手作りチョコレート事件」は、「Sweetest day of May(Joe T. Vannelli)」だったりします。二月の話なのに。
Q10:もうちょっと安くならんか、本。学生にゃ厳しい額
お気持ちは良くわかります。私もかつては学生でしたので。
ですが、ちょっとお聞きください。ちょっと元・書店員の顔で書かせていただきます。
今回の『インシテミル』は、原稿用紙にしておよそ1000枚になります。
1000枚を単行本にして本体1,600円というのは、すさまじい数字なのです。この値づけを聞いた某出版者の編集者が、おもわず「それはマジックですね」と呟いたくらいです。そして『インシテミル』が1,600円になった影響も、なくはないでしょう。『遠まわりする雛』も、1,400円まで抑えることになりました。
マジックのタネの一つは、色にあります。普通、カラー表紙は「四色刷り」です。ですが『インシテミル』はデザインの工夫により「三色刷り」を実現し、原価を下げられたのです。そしてタネはこれだけではありません。
『さよなら妖精』のときは、もっと凄まじかった。実績のない私、そして産声を上げたばかりのミステリ・フロンティア。当然、初版部数が多かろうはずがありません。最低ロットでの出版だった、と言っていいと思います。
だいたいにおいて、初版部数が多ければ多いほど、値段は下がります(それだけではありませんが)。しかし『さよなら妖精』は、この悪条件の中、本体1,500円を達成しました。東京創元社がどれほど工夫し、勝負をかけてくれたことか。
ですが、作家の顔に戻って書きますと、1,000円超の本ばかりというのが学生さんにとって手が出しづらいというのは、よくわかります。
なんとか、文庫書下ろしの『秋期限定』を早く出せるよう、がんばります。
Q11:米澤さんは普段どのような音楽を聴かれているのでしょうか? ジャンルでも具体的なアーティストでもかまいません
Q9の回答から、なんとなくお察しいただけるのでは、と。
基本的には、ぬくぬくしたものを聴いていますよ。ジャンルで言うと、テクノポップになるんでしょうか。
前はブランキーなども良く聴いたものでしたが……。いまでも、「ロメオの心臓」とか「サリンジャー」とかにはぐっと来ます。
Q12:最近お勧めのウェブサイトなどあれば、お願いします。
うーん。気に入っていたサイトは次々に「書籍化」され、更新が止まってしまいました。
いま「これ!」とお勧めできるサイトは、すぐには思いつきません。
あ、mixiには米澤穂信がいます。もし良かったら探してみてください。
Q13:米澤さんが初めて最後まで書き上げた小説はどんな物語ですか? そして初めての読者は誰?
退廃した近未来を舞台にしたポリス・ガンアクションです。600枚ぐらいでしたか。ナイフを持つテロリストに襲われて、買ったばかりの菜切り包丁で応戦したりする話です。
初めての読者は、『氷菓』のあとがきに名前が出ている数人の中にいます。
Q14:お気に入りの酒の肴を教えてください。
ほとんど飲めないんですが。
烏賊の沖漬けがたまりませんね。
Q15:今までついた嘘の中で傑作だったものを一つ教えてください。
「月曜日のご出勤までには必ずお送りしておきますから」
Q16:つい最近、読まれた本はなんですか?
直近ですと『バレットウィッチ オフィシャルコンプリートガイド』(マイクロマガジン社)……。
あ、いえ、『新・夢十夜』(芦原すなお 創元推理文庫)になりますね。いま読んでいるのは『離れた家―山沢晴雄傑作集』(山沢晴雄 日本評論社)です。
Q17:夏期限定では二人は二年生ですが、秋期では三年生ですか? また冬期では? どうなるのでしょうか?
帰納法的に考えると、二作目で二年生だったのですから、三作目では三年生ですね。
さらに帰納法を推し進めますと、四作目では四年生になります。
Q18:「夏」と来たらどんなシチュエーションが好きですか?描写も含めてお願いします。
暑いので好きじゃないです。どこ行っても人まみれですし。
打ち合わせなどで仕方なく外に出て、普段使わない声帯を使って会話して、がたごとと電車に揺られて駅まで帰り、ぽてぽて歩いて部屋に戻り、外出着を脱ぎ捨てて部屋着に着替え、冷蔵庫から冷えた麦茶を出してペットボトルから口呑みする瞬間は、そこそこ好きかもしれません。
あ、浜辺でアブない火遊びとかも好きですよ。
ロケット花火はうるさくていけません。やっぱり浜辺の火遊びは、穏やかに線香花火に限ります。
Q19:大変失礼かとは思いますが、先生は女性ですか? 男性ですか?
別に失礼ではないですが、すみません、男性です。ふつうのあんちゃんです。
隠しているわけではないんですが……。
ペンネームをつけてから二年後に、「ほのぶ」は女性名と受け取られる可能性があることに気づきました。
Q20:『冬期限定』と言われて反射的に思いつく食べ物は何ですか?
メルティ・キッス。
Q21:米澤先生は結婚されないんですか?
俺ッチは小説の神サンにプロポーズしてるのさ!
Q22:ずばり語彙力を高める秘訣はなんでしょうか。
語彙力のある人にお訊きになった方が……。
私は、子供の頃に何が面白いのかひたすら「ことわざ辞典」を読んでいた貯金で過ごさせてもらっています。
Q23:殺人と自死の究極的な差は、何だと思われますか?
究極的な差について答えるには、究極的ないしはそれに近い思考が必要になります。
残念ですが、100の質問に割けるリソースには限りがあるのです。あまり時間を取るわけにはいきません。
直感的には、行為者の悪意(法的用語で言うところの)にコツがありそうですけど。
Q24:今までの米澤さんの作品の中で気に入っているキャラクターは何ですか? 男女一人ずつ前後程度のテキトーさでお願いします。
難しいですね。
男は福部里志(〈古典部〉シリーズ)、女は太刀洗万智(『さよなら妖精』)、としておきます。
Q25:ミステリの第一線で活躍なされている米澤先生ですが、なぜライトノベル系列の新人賞に応募されたのですか?
第一線であるかどうかはわかりませんが、応募時はこれからはミステリ&ライトノベルのハイブリッドが最前線だゼ! と思ったからです。
残念なことに、戦線は縮小しました。
Q26:私は〈古典部〉や〈小市民〉シリーズが好きなのですが、米澤さんご自身は学生時代をどのように過ごしておられましたか?
弓道部で、いちおう部で一、二を争う腕を持っていました。最後の大会で私がエースを任されましたが、その私の不調が原因でチームは敗退しました。それ以来、弓は持っていません。
文化祭では、校舎の隅っこで本を読んでいたことしか憶えていません。
あ、そうでもないか。クラスでビデオ映画を撮ることになったので、「ミステリ映画」はどうかと提案しました。
意見が通ったので、提案者の私が脚本を書くことになりました。結構書きましたが、40分程度の映像にしかなりませんでした。
確か「冷笑家の憂鬱」というタイトルだったと思います。もう、どこにもないでしょうね。
Q27:米澤先生が、他人に幅広くお勧めしたいことは何ですか? できれば読書関連以外で……
少し前ならエマージング諸国への分散投資がお勧めだったのですが、中国のバブル警戒感が限界に近づいているいまは、ちょっと難しいですね。サブプライム問題が長く尾を引くとは思いませんが、もしかしたらダウも上げすぎだったという危機感が圧力になっているのかもしれません。となりますと、アメリカに近づくのも少し躊躇われます。そもそも日銀の利上げ観測は非常措置の解除と考えれば当然のことで、それに基づく円高懸念が消えない以上、円で持つならば海外投資は有利とはいえません。翻って日本を考えますと、幸い先の参院選はかなり勝敗がわかりやすい流れだったので、与党の敗北が市場に与えたダメージはほぼゼロでした。東証平均が16000を切るようでしたら実体経済との乖離は大きいと見ていいでしょうから、17600前後での利益確定を目安として、日本株のインデックスファンドを試してみるのも悪くないのではないでしょうか。もっともこれは数ヶ月の短期運用で考えた場合の話で、長期保有はやはりリスキーです。仮に目論見通り10%の上昇を見たとしても、手数料や信託財産留保分、所得税などで実質利益はいいところ6%台後半。果たして良い取引といえるかどうか。中長期的にはやはりエマージング諸国の買い場を見切るのが良いと思われますので、不安定すぎる現在はおとなしく国債ファンドで我慢すべき時かもしれません。
なおこの見通しは2007年8月中旬の観測に基づくもので、特定の金融商品の購入をお勧めするものではありません。
Q28:ネーミングがいつも個性的ですが、どのように決めているのですか?
よく言われるのですが、とても個性的な名前といいますと、「千反田える」ぐらいのものではありませんか? 「小佐内ゆき」はいるでしょう、どこかに。
ええと。大雑把なルールとして、男の主役級は三字名、女の主役級は三字姓です。『さよなら妖精』の「守屋路行」がこのルールから外れているのは、彼は「主人公」の役割を掴もうとして、掴み得なかったからです。
あとは、命名に使えない漢字を使わないこと、親が願いを込めているとは思えない名前はつけないこと、ぐらいを守っています。
千反田だけが突出して風変わりな名前なのは、〈古典部〉シリーズがもともとは角川スニーカー文庫のための投稿作だったことに関係があります。
Q29:推理、ミステリ漫画は普段読まれていますか?
そうですね。いまは「月刊マガジン」に載っている「C.M.B.」を楽しみにしています。
Q30:疲れた時のリラックスなどの方法を教えてください。
近所に整骨院があるんです。そこですね。
精神的に限界が近いときには、ネットで花の咲いている場所を探し、見に行きます。
Q31:今までに、読んで一番泣いてしまった書籍(文章)は何でしょうか?
私は心が硬いので、あまり泣かないのです。
で、泣いたことは、あまり話しません。
Q32:選択肢を二つ。どちらかを選んでくれたら幸いです。
1・3ヶ月で300万部売れる
2・20年かけて300万部売れる
どちらを選びますか?
やだなあ。これじゃ二択になっていませんよ。
もちろん、2です。
なぜなら日本は累進課税制度を選択しているからで(以下省略)
Q33:好きな飲み物はなんですか?
パンプキンスープです。
Q34:ご自分を色に例えると何色ですか?
見ているだけで幸せになるような、清新なスカイブルー!
Q35:自分が書いた中で一番好きな登場人物は誰ですか?
む。
Q24が「気に入っている」で、これは「好きな」ですね。
嫌いな登場人物はいろいろいるんですけど……。
河村友春(『犬はどこだ』)なんかは、好きかも知れません。
Q36:作品の中で特に思い入れのある登場人物は誰ですか?
むむ。今度は「思い入れのある」ですか。
ニュアンスは微妙に違うだけですが、回答ははっきり違ってきます。
折木奉太郎(〈古典部〉シリーズ)です。
Q37:『インシテミル』はアマゾンと本屋、どっちで買った方がいいと思いますか?
私を試していますね?
もちろん書店、と言いたいところですが。
書店の役割は、大きく変わりつつあります。取次から送り込まれる本を機械的に並べているだけでは、なかなか難しいでしょう。
本好きは書店に行きます。それは、必ずしも、欲しい本を買うためだけではありません。書店という空間が心地よいからなのです。そして書店の側も、そういう本好きのお客さまと良書との、不意の出会いを演出する役割を担えます。書店は、極端に言うなら、テーマパークに近いエンタテインメントを提供する場に変化していくのではと私は考えています。
さて、翻って、拙作『インシテミル』が欲しいのだとはっきりわかっている場合。これは、何も強いて書店に行かなくても、ネット書店で充分に用が足ります。
ですがもし、ちょっと時間があるなら。……お気に入りの書店に足を伸ばすのもお勧めです。意外と、目的の一冊のついでに買ったノーマークの本が、良かったりするものですので。
当店はお客さまのご来店を心よりお待ちしております。
Q38:富山の話を書いてください
それは質問じゃねーだろーっ!
ぜぇ、ぜぇ。
ええと、41号線を北上して富山駅の東から線路をくぐって市域北部に入り、そのまま富山港を目指したのですが、緩やかに湾曲した道路に惑わされてなぜか駅まで戻ってきてしまい海に辿り着けなかったので嫌です。
Q39:最近気になる「特大ニュース」みたいなものはありましたか。
うちの子犬が犬を産みました。
Q40:今の米澤先生にとって『シューティングゲーム』とはなんぞや。
15分の気晴らしです。
Q41:好きなお酒は何ですか?
あまり量が飲めませんので、少しだけでも美味しいのがいいですね。
どちらかというと辛口で、でもそれを売りにするほどの辛口ではなく、口に含んだときツンとくる嫌な感じ(醸造用アルコールなんですかね、あれは)のない日本酒なら、ゆっくりやらせていただきます。
Q42:料理好きのイメージがあります。自炊率を教えてください
私とて、一流の料理人になるべく青雲の志を抱き、関で鍛えた包丁一本携えて東京に出てきた身です。
しかし、多くの若者を襲った罠は、私をも呑み込みました。
そう……。
自分で作った料理を自分で食べるのは、割とむなしいという罠が!
それでも秋冬は結構料理しましたが、夏は駄目ですね。中食を自炊に含めないとすれば、たぶん五割切ってます。
Q43:穂信さんのお薦めの作家、または本はありますか?
あ、はい、たくさんあります。
ですけど、本を薦めるのは比較的相手を見て行う行為なので、ある程度「こういうものが好き」というのがわからないと薦めづらいです。
「誰にでも薦められる、これが面白くなかったら腹を切る!」というほど薦められる絶対の一冊があればいいんですが、なかなかそこまで、自分の目に自信が持てなくてすみません。
Q44:千反田さんが好きです。
私はキリンさんが好きです。
でもゾウさんの方がもぉーっと好きです。
Q45:「さよなら妖精」の登場人物にモデルはいますか?
問われて考えてみましたが……。
なんと、いませんね。基本的に、「この人がモデル」ということをあまりしないこともあるんですが。
Q46:小説を書くための勉強として、何かやっていますか? (過去進行形も可です)教えてください。
小説を書き、読んでいます。摂取が小説だけでは縮小再生産の危険がありますので、興味はそれなりに広く持つようにしています。
過去には、ショートショートを一日一本書いていました。40日ほど続けたかと思います。
発想をスムーズに形にする練習、書かなくてもいいことを書かない練習、書く習慣づけになったかと思っています。
ただ、やはり、一番の経験は長篇を書き通したことでしょう。
つまり、特別なことは何一つやっていません。
Q48:好きなお菓子TOP3はなんですか?
1)栗きんとん
2)いちご大福
3)蕨餅
……です。
Q49:好きな料理はなんですか?
うーん……。基本的に、どんなものでも美味しくいただくんですが。
〈和〉そば。細切りが好みです。それから、ひつまむし。鱧も好きかも。近所の蕎麦屋が意外にも(以下略)
〈洋〉基本的にデミグラスソースが好きですので。新宿にガレットの店が出来たんですが、これが(以下略)
〈中〉中国山椒をばっちり効かせた麻婆豆腐。名古屋駅の近くに手頃にフカフレを食べられる店がありまして(以下略)
〈伊〉何のかんの言ってもパスタは好きです。ボンゴレ・ビアンコで充分。代々木の一度行った店のペンネが(以下略)
〈印〉バターを効かせたナーン。サモサ。前に岐阜市にいたとき、体育施設のそばに学生御用達の(以下略)
〈泰〉パッタイ。カオマンガイ。もちろんトムヤンクンも。吉祥寺から西荻窪の方向に少し歩くと(以下略)
〈西〉タコ。なんでスペイン料理店で食べるタコはああも旨いのか。飯田橋から軽子坂を少し登ったところに(以下略)
Q50:作っていて楽しい料理はなんですか?
引き上げ湯葉なんかは楽しいですね。
Q51:『ヴァンデミエールの翼』がお好きなようですが、他の鬼頭莫宏作品についてはどう思われますか?
根底に性というか、ひとひねりした性、つまりフェティシズムがあるようです。
それが陰性に出るのが鬼頭莫宏、陽性に出るのが植芝理一だと思っています。
Q52:以前近況で、「まめちしきー。」を披露されていましたが、あの語調は「カードキャプターさくら」ですか?
違います。
一世を風靡した木之本、真宮寺、春日野の3さくらのうち、私が僅かでも接触したのは春日野のみです。
しかもZEROシリーズでの使用キャラはバーディでした(3シリーズではアレックスです)。
Q53:登場人物の名前の由来(どうしてその名前にしたのか)を教えてください。
いや、特に理由はないんですよ。
登場人物の間で、姓名の音、字面から想起されるイメージがかぶらないようにしているぐらいです。
たいていは、好きな姓という理由で選んでいます。部民姓、屋号姓は割と出しますね。
はっきり由来があるのは……。伊原摩耶花ぐらいだと思います。言葉にトゲがあるからイバラ、イバラだから花、です。
Q54:古典部の最終話、もう脳内では出来上がっているんですか?
数パターン考えていますが、うーん、どれにしましょうか……。
Q55:担当さんが仰せられました。「『犬はどこだ』の続刊はSFでお願いします」どんな話になりそうですか?
まず担当編集者さんとの一騎打ちの話になりそうです。
その上で……。ウイルスでもばら撒きますかねぇ。山奥の村にクトゥルー信仰を放り込んだり。SFというか、篠田節子の『夏の災厄』的な方向性しか浮かびません。
Q56:一番好きな、ミステリーの犯人は?
むっ。これは、難しい質問が来ましたね。
「ズームドルフ事件」(『アブナー伯父の事件簿』 M・D・ポースト)の方向性もあるでしょうし。
『Yの悲劇』(エラリー・クイーン)の方向性もあるでしょうし。
解説を書かせていただいた縁で言うんじゃないですが、『敗北への凱旋』(連城三紀彦)の方向性もあるわけです。
個人的な好みでは「曲がった犯罪」(『キッド・ピストルズの冒涜』 山口雅也)の犯人も印象深い。
『虚無への供物』(中井英夫)はもちろんですが、『仮題・中学殺人事件』(辻真先)も忘れるわけにはいきません。
ですがここは思い切って、『獄門島』(横溝正史)の犯人(「元凶」の方です)とさせていただきます。「南無……○○どの」。これですよ。この△△感はちょっと他にはないです。
Q57:クドリャフカの順番で、二日目の河内先輩は、竜虎の拳のキングのコスプレをしていますが、敢えて、アテナやナコルルではなく、キングを選択したのは、河内先輩の人柄に合わせたからか、米澤さんの好みなのか、それとも他に理由があるからでしょうか?
既存の服を流用しやすく、お金がかからないからです。高校生ですから、三日とも凝るわけにはいかんでしょう、と。
Q58:好きな東京タワーは?
中距離支援型東京タワーです。
……六本木ヒルズの展望台から見た東京タワーは、思ったより間近でなんだか小さく見えて、可愛かったです。
Q59:第四十一回神山高校文化祭で漫研が発行した文集のタイトルが「カンアミーズ」だったのは、どういった馬鹿馬鹿しい理由からですか?
当時、四分五裂していた神山高校漫画研究会の抗争を沈め、統一文集を出すまでに会を立て直した『漫研中興の祖』が、神亜美(じん・あみ 3年C組 第二十四代漫画研究会会長)だったのです。彼女は三年生でしたので、その年の文化祭の時点では既に後進に道を譲っていました。しかし残された一・二年生は、神亜美の功績を称え、また人柄を慕って、統一文集の題名を「カンアミーズ」としました。
しかし、彼女の精神は受け継がれることがありませんでした。その後、漫画研究会が再び分裂の危機に陥るのは、『クドリャフカの順番』で書いた通りです。ほんの数年の間に、同じ過ちが繰り返されている。高校という場所が、原則として三年で人材が入れ替わる場所である以上、この争いはおそらく無限に続きます。
伊原摩耶花は、この経緯を知っていました。そして、無限の闘争への軽蔑を込めて、「カンアミーズ」というネーミングを馬鹿馬鹿しいものと断じたのです。
Q60:小市民シリーズや、インシテミルもですが、表紙のセンス良いですね。で、その表紙の選定なんかは、米澤さん自身がやってるんですか?
基本的には、装幀は編集者の専管事項です。私の方からは、「お願い」をすることはありますが、最終的には編集者さんにお任せしております。実際の作業は、ブックデザイナーさんのお仕事になります。
イラストレータも、編集者さんが選びます。ただ、〈小市民〉シリーズの片山若子さんに関しては、私が無理を言ってお願いしました。
Q61:近況報告やインタビューを拝見していると、SFも読まれるのかな、と思ったのですが、特に好きなSF作品、作家がありましたら教えてください。
そうですね、たとえば、子供の頃よく連れて行ってもらった温泉のロビーに『月は地獄だ!』がありまして、先ごろ「むこうはどんなところだい?」(エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』収録)を読んだときふとオーバーラップして、つい
いや、隣の庭の話をするのはやめておきましょう。馬脚が露われますので。
Q62:最近読んで面白かった本を教えてください。(小説でも実用書でも、どんな言語で書かれていても、雑誌でも漫画でも)
『暗殺の天使 シャルロッテ・コルデの生涯』(安達正勝 三省堂選書)が面白かったです。
今日部屋を掃除していたら、『冬至草』(石黒達昌 早川書房)が出てきました。これは私の趣味ど真ん中でした。
……あ、これを
Q61への回答にすればいいのか。
Q63:インシテミルは館モノということで今から楽しみにしているのですが、米澤さん的に「これは大好物!」というようなミステリの定型(舞台や殺害手段、小道具等)は、他になにかあるのでしょうか?
美観がかかわるのが好きなようですね。
私自身は決して審美眼がある人間ではなく、むしろかなり野暮なタイプです。しかし、「本当に美しいもの」や「本当に面白いもの」に殉じるような情熱を傾ける人々の話は、かなり好きです。
Q64:米澤先生が中学生の頃読んでいた本は何ですか?
『水滸伝』や『西遊記』、『聊斎志異』の訳書は中学生の時だったと思います。『三国志』は吉川三国志しか読まなかったので、『演義』はおろか正史も読んでいる知人たちの間で肩身の狭い思いをしました。そういえば家から、『金瓶梅』はえろいという理由で禁書指定されていました。
まっとうですね。
Q65:得意料理はなんですか?
白菜のクリーム煮です。
さっぱりいい味に仕上げるのはもちろんのこと、エバミルクの白さにいささかも焦げの茶色が混じってはなりません。それにしても、この料理だけ突出して「とろみ」づけが難しいのはなぜでしょうか。
……翻って言えば、ここがオイラの腕の限界さ!
一人暮らしのご家庭ですので「油通し」は難しいですし、ちょっと肌が弱いので「手こね」全般を控えています。
やる気の問題もあるのでしょうが、レパートリーは本当に、恥ずかしくなるぐらい貧弱なのです。
どうしても油の使用量が増え、中華鍋の手入れも大変な中華料理はあきらめ、パスタのレパートリーを増やそうかと考えています。
Q66:米澤さんはスイーツ大好きなんですか?♪ 小市民シリーズを読んでいると気になって仕方がありません。
『春期限定』の時点では、さほど好きではありませんでした。
しかし慧眼の読者に「本当は好きではない」ことを見抜かれ、ショックを受けた私は『夏期限定』のために修行を積んだのです!
それは、いま思い出しても恐ろしい、厳しい修行でした……。
Q67:現時点で、高校生が主人公の物語を書くのに困難を感じていますか?
ジャスト・ア・リトー。
Q68:また、いつまで高校生の心理状態をトレースできると感じていますか?
自分では虫一匹殺さないのに、猟奇殺人鬼の心理状態を書くのがミステリ屋さんです。
また、かつて人類が見たこともない光景を描き出すことを仕事とする同業者もいます。
トレースが難しくなったら、シミュレートするまでです。
結論:作家的想像力でカバーできると考えます
Q69:先生は大体どのくらいの周期で家庭用ゲームを消費しますか?
私は、本一冊分の原稿が仕上がると、編集作業が行われる2〜3週間の間にいくつかのことをします。
1)包丁を研ぐ
2)目をつけていた店に食べに行く。お一人様で
3)少し遠くの庭園か古刹か、そんなようなところに足を伸ばす
4)前から読みたいと思っていた作家の本を集中的に読む
5)家庭用ゲームのソフトを一本買って、やる
ですので、一冊分の原稿が3ヶ月で仕上がれば1本/3ヶ月、6ヶ月かかれば1本/6ヶ月となります。
で、次の仕事が本格化したら、ゲーム機のコードを抜きます。
つまり最近は年に二本も遊べればいい方です。もうだめだ。
Q70:先生はご自身はゲーマーであるという自覚を持っていますか?
持っていません。
「ゲーマー」は、腕の良いプレイヤーに与えられる尊称でもあると思うからです。
これは「シューター」が尊称である文化にいた名残の感覚かもしれませんね。
Q71:名探偵と怪盗、どっちが好きですか?
名探偵です。
怪盗は、「実は××氏は怪盗△△の変装だったのだ!」をやらなくなったら好き嫌いの検討に入ります。
だからルパンは『八点鐘』(モーリス・ルブラン)が好きですし、一番好きなのはたぶんフランボウ(G・K・チェスタトン『ブラウン神父』シリーズ)ですが、でも彼はほとんど怪盗じゃありません。
あ、むしろキャッツアイの方が好きかもしれません。
Q72:好きな味噌汁の具は、何ですか?
味噌汁……。味噌汁かぁ。
一人暮らしをなさった方ならご存知かと思いますが、一人分の味噌汁を作るのはかなり面倒です。
味噌はもちろん、沸騰直前のだし汁で溶くのが基本です。ところで一人分のだし汁は鍋の中で水深(!)が浅く、味噌を溶きにくいのです。
それに、どんなに小さなカップで味噌を買ってきても、一人で使える量には限りがあります。愛用レパートリーに味噌煮込みうどんや鮭のちゃんちゃん焼きがあり、比較的味噌の使用は多いだろう私でも、カップの三分の一ぐらいはかぴかぴにしてしまいます。
使い切れないことがわかっていると、もったいなくて、つい味噌は敬遠してしまいます。このところ、味噌汁は作ってないですね。
ところで質問の答えはシジミです。
Q73:米澤先生の、小説(もしくは小説家)ベスト10を教えてください。
実は、一番苦手な仕事が、この「ベスト選び」なんです。
これにまともに答えようと思うと、三日はかかります。サイトの企画としては重いです。すみません、パスします。
Q74:〈小市民〉シリーズを読むと私も食べたい!と思うお菓子がたくさん出てきます。米澤さんの一番好きなお菓子または苦手なお菓子を教えてください。
好きな菓子は
Q48で上げましたので、苦手な菓子ということになります。
昔、個人的事情で、クリスマスになると大手メーカーがスーパーマーケットなどで量販するケーキを食べねばなりませんでした。
いまは事情が変わったのかもしれませんが、その頃の大手メーカーのケーキは実にひどいものでした。不自然で、しかも強すぎる甘み。ねっとりと舌に残る油。すかすかのスポンジ。私は、ケーキが大嫌いでした。なぜこんなものが有難がられるのか、本気でわかりませんでした。もったいないと思うからこそ嫌々食べていましたが、ほとんど吐きたくなるような気持ちでした。私は中学生ぐらいまで、「ケーキは嫌いだ」と断言していました。
そのせいか、いまでも○○や△△△の製品は、見るだけでぞっとします。
すみません、嫌な話になりましたね。
実は、好きなお菓子の裏ベストがありますので、そちらで口直しにしてください。
三位 たけのこの里
二位 霧の浮船
一位 ベビースターラーメン(チキン)
先日、某出版者の編集者さんと初対面の席で、ベビースターの素晴らしさについて大いに盛り上がってしまいました。その編集者さんはベビースターラーメンを箱買いするそうですから、到底私などの及ぶところではなかったんですが……。
Q75:今後、インターネットの素養がない高年層でも分かる小説を書かれるお気持ちはありますか?
あります。
『雨月物語』か『春雨物語』で一本書きたいとずっと思っているんですが、これが成れば年齢層を選ばない小説になるのでは、と……。
そう、思わなくも……。
書いてもいない小説の話は歯切れが悪くて、すみません。
Q76:右と左迷ったらどちらを選びますか
右と左、どちらを選ぶべきか選択の理由になる情報を模索します。
で、間違う、と。
Q77:名探偵ベスト3を挙げるとしたら?
むむ。では、海外、国内から順不同で三人。
・物部太郎(『七十五羽の烏』ほか)
・亜愛一郎(『亜愛一郎の狼狽』ほか)
・香月経四郎(『明治断頭台』)
・ロジャー・シェリンガム(『レイトン・コートの謎』ほか)
・ヘンリー(『黒後家蜘蛛の会』)
・ドルリー・レーン(『Xの悲劇』ほか)
海外の三人は動かないと思いますが、国内の三人目は流動的です。
Q78:自分を自分の作品の登場人物に例えるとしたら誰になりますか? 私は、米澤さんは漫研の河内さんや、映画を作っていた沢木口さんに似てるんじゃないかと勝手に思っています。
たいていの登場人物は、私の性格を多かれ少なかれ反映しています。ですので、全登場人物をひっくくって、みんなミキサーにぶちこめば、私に近くなるのかもしれません。
という常識的な答えの後に、一言。
河内や沢木口には似てないと思いますよ、正直なところ……。
Q79:今まで読んできた中でおすすめミステリーベスト3は何ですか?
ミステリー限定でベスト3ぐらいなら、なんとか。
名作枠から『火刑法廷』(ジョン・ディクスン・カー)。
好み枠から『最上階の殺人』(アントニー・バークリー)。
思い出枠から『ホッグ連続殺人』(ウィリアム・L・デアンドリア)。
名作枠から『戻り川心中』(連城三紀彦)。
好み枠から『妖女のねむり』(泡坂妻夫)。
思い出枠から『六の宮の姫君』(北村薫)。
でも、訊かれるたびに変わるんですよね、結構。
Q80:好きなお笑い芸人は誰ですか?
かつて名古屋文化圏にいましたからね。
中部ローカルで「ノブナガ」という番組があったんです。いまでもあるかも。
ちなみにこの「ノブナガ」のあとには「ヒデヨシ」という番組をやったんですが、この間に五分ほど、PRタイムみたいな短い番組がありました。その番組の名前が「ミツヒデ」。これはなかなかのセンスだと、いまでも思っています。
で、その「ノブナガ」の名物企画が「地名しりとり」。街行く人に地名を聞いて、その場所に行き、その場所で会った人に「地名しりとり」をお願いする企画でした。で、紆余曲折の上、「三重県の街ならどこでもゴール」という状況になったんですが
……。
そこからが長かった。秋田県の奥地から沖縄県の無人島までとか、今日は新潟明日は北海道とか、日本全国どこまでもしりとりのために駆けまわるのに、一向に三重県の地名が出ない。
「ま」が出るたびに「『松阪』と言ってくれるかも」と期待するのですが、街行く人の答えはまたしても「『松山』!」。
深夜番組なので予算もなく、ただひたすらに東西南北に地べたを這いずりまわるような、つらいつらい企画でした。
この企画を担当していたのがペナルティーのワッキーでした。
長いロケに彼は既に疲れ果て、自分がお笑い芸人であることも忘れたかのような無表情で、その土地の食べ物をさして旨くもなさそうに食べ、面白いコメントのひとつも残すことなく、またしても三重県とは関係のない場所へととぼとぼ向かっていくのです。
ウェイトトレーニングの日課を、深夜急行の中で消化しながら……。
その姿は、普段ほとんどテレビを見ない私ですら、思わず見入ってしまうものでした。
彼が全国区の顔となったいまでも、テレビに彼が出ていると、あの企画を思い出して応援してしまいます。
後はお笑い芸人としての芸が面白ければ、さらに良かったんですけどね。
Q81:いままで読まれた作品の中で、一番好きなキャラクターを男女一人ずつ教えてください。
ぱっと浮かんだ男性が「児を盗む話」(志賀直哉)の“私”でした。で、女性がなぜか「少年科学倶楽部火星へ」(鶴田謙二『THE SPIRIT OF WONDER』)のウィンディ・リンドヴァーバーグだったり。ラジェンドラ(神林長平『敵は海賊』シリーズ)はどっちでしょう。
オールジャンルからというのは手間がかかりますので、すみませんがミステリに限定させてください。
となりますと、男性はシャーロック・ホームズを選べばいいので簡単です。
「ホームズのような神のごとき名探偵ならともかく」という趣旨の台詞を見るたび、ホームズ物を読んでいるのかと問いたくなります。彼は名探偵クラブの中では(名誉会長ではあるかもしれませんが)鈍い方ですし、ミスも犯します。そしてこう言うのです。「ぼくはここからチャリング・クロス駅まで蹴っ飛ばされても仕方のない愚か者だったのだ!」。
ですが男性キャラクターにホームズを挙げてしまうと、女性キャラクターが大変です。これを選べば間違いない、という安牌に思い当たりません。
ああ、強烈なキャラクターということでいけば、潘金蓮(山田風太郎『妖異金瓶梅』)という手がありますね。
でもやっぱり、ベスト1というわけには……。
Q82:何年も構想があって完成していない小説(アイデア、プロット等)はありますか?
致命的なネタ被りにつき冷凍中のプロットが二本あります。
私の読者が望んでいない方向性だと思われるため封印中のプロットが二本あります。
現在の筆力では書ききれないだろうと思われるため醸成中のプロットが一本あります。
ですが、アマチュア時代からひきずったプロットは『ボトルネック』と『インシテミル』ですべて終わりにしました。
Q83:「この人には勝てない」と思う人がいらっしゃいますか? できれば実在の人物でお願いします。
たいへん遺憾ながら、私はいわゆる天才ではありません。
ですので、本物の才能の前には全敗するとお考えいただいて差し支えありません。
Q84:米澤穂信さんの作品は一人称で描かれているものがほとんどのようにお見受けしますが、三人称よりも一人称のほうが、描きやすいですか? また、一人称と三人称ではどのようなところに利点があると考えますか?
最初は三人称で習作を重ねていましたから、一人称を使い始めたころは「どうやって『後ろで起きていること』を書けばいいんだ」と悩みました。
いまは、まったく根拠はないんですが、三人称の方が技法として高度であるように感じています。最近は一人称で書きすぎました。三人称もたまには使わないと、下手になってしまいます。
利点ですが。まあ、心理描写のし易さとか、そういう当たり前のことは置くとして。
一例として、三人称をうまく使うと「むかしがたり」みたいな雰囲気が出せますね。これなんかは一人称にはない魅力でしょう。
Q85:入須さんって、好きな人いるんですか?
いそうな気はしますね。
得意戦術が通じずに困っていることでしょう。
Q86:今一番食べたいものは?
今日も暑かったです。
いまの気分は、讃岐うどん。
ああでも、もう23時か。○○屋は閉まってるなぁ。
Q87:小市民の小佐内さんは「幼い」という意味なんでしょうか?
ちがう……と思います。
あまりにそう言われすぎて、自分でもよくわからなくなってきました。
もともとは「小倉ゆき」という名前でした。これは、「小倉餡」からの連想であることは確かです。
しかしその後、小倉姓のアイドルを頻繁にテレビで見るようになりました。アイドルと同じ名前というのは、イメージを引っ張りすぎるので正直あまり好ましくありません。「松田」や「木村」なら一般的な苗字ですのでイメージも固定化されにくいのですが、「釈」など珍しい苗字が被るのはやはり、控えたいです。「小倉」は、ぎりぎりアウトでした。
そこで、急遽変更することになりました。
そのとき、『ヒロイン三字姓の法則』を当てはめようと考えました。
もともとこれは、登場人物が増えてもヒロインが一目でわかるようにと考えた小技で、特にこだわっているわけではありません。ですので、第一案「小倉」は三字姓ではありませんでした。
ですが、三字姓というシバリがあれば、新しい苗字を考えやすいという利点もあったのです。シバリは多少あった方が、選択は容易ですから。
「小山田」や「小田原」、「小笠原」など、「小+二字姓」にしよう、とは、なんとなく考えていました。まだ使ったことのないパターンの苗字だったからです。そこで「小山内」を選び、「山内」は既に出していたこと、「佐」の字がイメージに合ったことなどを理由に、「小佐内ゆき」としました。
ですが、「小佐内」を選んだとき、「幼い」という音に惹かれなかったかどうか……。いまではもう、自分でもわからんのです!
Q88:自分のどこが好きですか?
電話の受け答えがビジネスレベルに達していると自負できるところ。
出版社さんよりも電話が丁寧とか、よくある話です。
Q89:動物占いが好きです。米澤さんの動物は、何ですか? また、当たっていると思いますか?
「猿」でした。
うーん……。
すみません、こと私に限っては、当たってないと言わざるを得ません。
・オダテに弱いお調子者:褒められれば嬉しいですが、褒められすぎるとすぐに裏を考えだしますので……。
・小銭に目がナイ!:資産管理がぞんざいな方ではありませんが、一円にこだわるほどでも。
・目先の物事にとらわれる:明確に違います。私は深謀遠慮を巡らせて、結果的に間違うのです。
・活発でおっちょこちょい:半ひきこもりになんてことを。おっちょこちょいは否定できませんが。
・堅苦しい雰囲気が苦手:むしろ堅苦しくない雰囲気が苦手です。ずっとビジネス敬語でしゃべっていたい。
・純粋で素直な性格:あ、違います。
・にぎやかな所が大好き:早く竹林に隠棲したいと思っています……。
いろいろ見てみましたが、どうやら「コアラ」が近いようです。
占いは、昔はタロットカードを使っていました。ケルト十字法ぐらいならできましたが、いまはタロットを持っていません。
Q90:米澤さんがデビューされる前からあるサイトだったのですね。その頃は『氷菓』以外は短編を載せてらしたのですか?
確かファンタジー長篇も載せていたと思いますよ。
Q13でお答えしたアクション長篇も。
もう時効ですかね。書いてしまいましょう。
実は、サイトに載せていたファンタジー+ミステリの長編に注目していただき、ある出版社さんから預けてみないかと打診を受けたことがあります。「ファンタジー+ミステリ」としては、たぶん『殺竜事件』(上遠野浩平)よりも先だったと記憶しています。
ですが私は、そのご依頼を受けることが出来ませんでした。
打診の数日前に、角川での受賞が決まっていたからです。
Q91:またそれらをプロになってから、リライトして商業誌に発表したことはありますか?
「日常の謎」短編はいくつかありましたので、解体して利用しました。
ショートショートも、先ごろ発表の機会をいただけました。
Q92:創作に直接関係する質問ではありませんが、米澤さんは本を読むのが早いほうだと自分で思いますか?
これははっきりしています。
極めて遅い方です。
これは私の弱点なのですが、[仕事/プライベート]の切り替えが下手で、従って時間の使い方が下手なのです。デッドロックがかかるまでズルズルと仕事を引きずってしまう。かけた時間と仕事の成果は、必ずしも比例しないのに。読みたい本があっても、「それよりも原稿を」と思ってしまう。結果、本も読めない原稿も進まない一日になってしまう、ということはしばしばです。
これはなんとか、改めたいと思っています。
恋も仕事も、切り替えがカンジンよね♪
Q93:あと一週間で世界が終わると知ったら、その時が来るまで何をしますか?
社会機能がマヒしているでしょうから、どこにも行けないでしょうし何も出来ないでしょう。
もしガソリンが手に入るなら、庭園が見事だという島根県の足立美術館に行きたいです。その前に椿山荘か。無料で入れるのに、無料で入るのは怖くて近づけない臆病に幸あれ。
ただ、書きかけの長篇があるなら、そいつは仕上げないと未練でしょうね。滅びた世界で自縛霊なんて、洒落にもなりません。
Q94:以前話題になっていた『狛犬はどこだ』を米澤さんが作品化するということはないのでしょうか?
さあて、なんのことやらです。
Q95:〈古典部〉シリーズ三冊目はいつぐらいに文庫化するでしょうか?
いまのところ不明です。
ただ、角川書店の文庫化の慣例を考えれば、おそらく
いや、推測で物を言わない方がいいですね。文庫化のタイミングは、単行本の売れ行きやタイアップ、フェア企画などによって左右されることもあると聞いていますので。
私自身、文庫化はまだ『さよなら妖精』の経験があるだけですので、わからないことが多いのです。
Q96:パスティーシュを書いてみたい作品は有りますか?
若き日の過ちとしては、いろいろやりましたけど……。
あ、この間、「東方」で書かないかと打診がありました。
でもいまは、どれも考えていません。力尽きる前に書きたい自前の話が、まだ結構残っているので。
Q97:ミステリ以外の小説は読みますか?
そうですね、ぽつぽつと。
多少意識しないと、やっぱり、ミステリばかりになってしまいますが。
それに、たいていの小説は牽強付会すれば「これも広義のミステリ」と言えてしまいますし。
エスピオナージュならわからなくもありませんが、『女王陛下のユリシーズ』≒冒険小説≒ミステリ、というのは無理なのでは……。
Q98:特技はイオナズンとありますが?
いいえ、メガンテです。
Q99:お嬢さまが好きなんですか?
な、な、な、何を言っているんですか。
いったいどこからそんな発想が。
Q100:お世話になっております。××社の△△です。
お世話になっております。米澤穂信です。
いろいろとってもごめんなさい。